きっぱり、上手にNOと言う技術 ~「エッセンシャル思考」より~

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友人からの食事の誘い、上司からの仕事の依頼など、本当は断りたいけど相手との関係を壊したくない気持ちが勝って断れない。

それは人間として仕方のない部分があります。

 

数千年前の狩猟採集時代には、仲間との繋がりが生死を分ける鍵でした。

 

同調の必要性が弱まった現代でも、仲間に嫌われたくないという気持ちが心の奥底に強く根付いています。

 

人の期待を裏切ることを怖く感じるのはそれが関係しています。

 

しかし、きっぱり上手にノーと言う技術を身につければ、相手を失望させるどころか、より良好な関係を築くことが可能です。

 

なぜなら人はノーと言う勇気のある人を高く評価し、尊敬するからです。

 

グレッグ・マキューン著の「エッセンシャル思考」では、
きっぱりと、しかも上手にNOと言うコツと実例を紹介しています。

 

 

エッセンシャル思考とは、より多くの仕事をこなすためのものではなく、やり方を変えるためのもの。
その狙いは、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を挙げること。

 

 

以下は、本書の第11章「拒否―断固として上手に断る」を参考にしています。

 


 

 

  1. 判断を関係性から切り離す
  2. 直接的でない表現を使う
  3. トレードオフに目を向ける
  4. 誰もが何かを売り込んでいる
  5. 好印象よりも、敬意を手に入れる
  6. 曖昧なイエスはただの迷惑

 

 

判断を関係性から切り離す

 

 

誰かの「頼み」を断ることは、相手との関係性を拒絶することだと感じてしまう。

しかし、この2つを切り離して考える

 

 

直接的でない表現を使う

 

 

「ノー」という言葉を使わなくても、ノーということは可能。

 

この記事の後半で、上手な断り方の8つの例を紹介します。

 

 

トレードオフに目を向ける

 

 

トレードオフとは、何かを得ると何かを失うことである。

 

どんな判断をする時も、「これを選んだら、別のもっと価値あることができなくなる」という機会コストを忘れてはいけない。

 

全てをやることは不可能だから失うものを冷静に判断し、納得できる答えを出す。

 

 

誰もが何かを売り込んでいる

 

 

相手が何を売り込もうとしているのか。
自分はそれによって何を失うのか

 

それを意識して、より合理的な判断をする。

 

 

好印象よりも、敬意を手に入れる

 

 

うまく依頼を断ることは、「自分の時間を安売りしない」というメッセージになる。

 

短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れられる。

 

有名グラフィックデザイナーのポール・ランドは、「いくつかのロゴの候補を出してほしい」と言うスティーブ・ジョブズの依頼にノーと行ったことがある。

 

その代わり、ランドは「自分の知る限り最高の答えひとつだけ出す。使うかどうかはそちらに任す。」と告げた。

 

ランドはその答えを出し、一度はノーと言われて苛立ったジョブズを感動させた。

 

エッセンシャル思考の人は、時には相手の機嫌を損ねても、きちんとノート言い、目先の好印象と引き換えに、長期的な敬意を手に入れる

 

 

曖昧なイエスはただの迷惑

 

 

曖昧にしておいて結局断るくらいなら、その場ですぐに断る方がいい。

 

相手へのダメージもずっと少なくて済む。

 

 

 

上手な断り方の8つの例

  1. とりあえず黙る
  2. 代替案を出す
  3. 予定を確認して折り返す
  4. 自動返信メール
  5. どの仕事を後回しにするか
  6. 冗談めかして断る
  7. 肯定を使って否定する。
  8. 別の人を紹介する。

 

 

とりあえず黙る

 

 

誰かに何か頼まれたら、ゆっくり3秒数えて、それから自分の意見を言う。

この方法に慣れたら、相手が気まずくなって何か言うまでじっと待ってみる。

 

 

代替案を出す

 

 

代替案を出して、相手に歩み寄りながら断る。

 

この著者の例では、メールでお茶に誘われたとき「今は本の執筆で手一杯です。書き終わったらぜひご一緒させてください。」と断る。

 

 

予定を確認して折り返す

 

 

有能であるがゆえに、誰からも便利に使われている人がいるとする。

 

能力があるから何でも引き受けてしまうエッセンシャル思考の典型のような人だ。

 

しかし「予定を確認して折り返します」という言葉を使うことで、その場で引き受けることがなくなり、自分のペースで仕事ができるようになる。

 

 

自動返信メール

 

 

今は返信できないので、後で折り返す。という内容の自動返信メールを、休暇中や外出中に限らず普段から活用してみる

 

「作業中のため返信できない」という内容の自動返信メールを設定しておけば、相手は「返信できない」という事実をそのまま受け止めてくれる

 

 

どの仕事を後回しにするか

 

 

上司からの依頼にノーと言うのが難しければ、上司にトレードオフを意識させる

 

「ではこの仕事を優先でやります。今抱えている仕事のうち、どれを後回しにしましょうか。」
あるいは、
「今かなり仕事を抱えているので、この仕事までやると品質が落ちます。」

 

このような筋の通った断り方をすれば、上司も納得する

 

 

冗談めかして断る

 

 

親しい間柄なら、冗談めかして断ることができる。

 

普段からエッセンシャル思考をアピールしておくと、断りやすくなる。

 

 

肯定を使って否定する。

 

 

例えば、「僕の車を使ってください。キーを置いておきます」というと、運転を引き受けないという意思を表現することができる。

 

いくらか力になりたいが、全面的に巻き込まれたくない場合は有効な方法である。

 

 

別の人を紹介する。

 

 

相手は自分を見込んで特別に頼んだわけではないことがほとんどである。

 

実際は誰がやっても良いので、別の人を紹介してみる。

 

 

最後に

 

 

「我々に必要なのは、もっとゆっくりイエスを言い、もっと素早くノーを言うことだ」というハイドリック・アンド・ストラグルズ社のトム・フリールCEOの言葉があります。

 

※ハイドリック・アンド・ストラグルズ社
世界最大級のエグゼクティブ・サーチ(クライアント企業が求める経営幹部職に適した人材をリクルートする)会社

 

 

ノーを言うことは、優秀な人の必須スキルです。

 

断る練習をするうちにだんだん技術が身につき、断り方のレパートリーも増えて、そつなく断れるようになるはずです。

 

相手から嫌われたくない思いからノーと言いにくい環境であっても、あえてノーと言うことで「都合の良い人」から信頼できる人という認識に変わります。

 

もしノーと言えなくて今の生活を窮屈に感じることがあれば、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

 

 

~追記~

この本の中で「人生も仕事もクローゼットと同じ」と言う表現があり、エッセンシャル思考のクローゼット整理法を紹介しています。

 

その片付けの意義や方法は、メンタリストDaiGoさんの著書「人生を思い通りに操る 片づけの心理法則」で具体的なアクションプラントと共に書かれています。

ぜひこちらもチェックしてみてください。


 

図解バージョンはこちら↓

コメント

  1. より:

    僕も断れないことが多いのでためになりました。

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