元トヨタ社員の著書「トヨタの会議は30分」について

読書

元トヨタ自動車社員である山本大平さんの著書「トヨタの会議は30分 ~GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術」に書かれていた時短術部分の紹介と感想を書きました。

もしよろしければ参考にしてみてください。

今をときめくGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)や、近年成長が著しいBATH(Baidu, Alibaba, Tencent, Huawei)などの中国系企業に共通しているのは、会議や打ち合わせにおけるコミュニケーションのスピードが速いことです。

一方、日本では大きな企業になればなるほど、会議などでのコミュニケーションのスピードが遅いそうです。上司の雑談から会議が始まったり、上長の方のタバコ待ちで会議のスタートが遅れたり、歴史ある上場企業でさえこのような状態です。

しかし、素早い意思決定や、無駄のないコミュニケーションを維持している日本の大企業があります。

それが、トヨタ自動車です。

筆者である山本さんは新卒でトヨタ自動車に入社し、8年間エンジニアとして働いていました。少なくとも山本さんの働いていた頃のトヨタでは、直球で意見をぶつけ合って、サッサッと意思決定を進めていくような、GAFAやBATHにも負けないギガ速のコミュニケーションがあったそうです。

その後、山本さんはTBSや外資系コンサルなど異色な異業種間転職を経験しています。
現在は経営コンサル会社を運営し、主にビジネスデザインやマーケティングの分野で活躍しています。

そんな山本さんがトヨタで実際に学んだビジネスコミュニケーションの促進方法のうち、
“誰でもすぐに実践できる” ものがこの本にはまとめられています。

※トヨタ社内で標準化されているわけではない内容も多くあります

山本さんなりに解析した、仕事の生産性を上げる5つのサブ・コミュニケーション能力が章ごとに分けて書かれています。

  1. 時短に役立つ仕事術
  2. 確実に相手を射抜く・仕留めるコミュニケーション術
  3. 本質思考
  4. 後進に伝える力・教育力
  5. 良好な人間関係の構築能力

更に、この5つではカバーできない領域として、 “人としてのあり方” にも6章で触れています。

以下、1章の「時短に役立つ仕事術」の部分を紹介しています。

この章では、ギガ速で最大の効果を得るために、会議術を中心にいくつかのノウハウが紹介されています。
(それ以降の章は、ぜひ書籍で読んでみてください!)

会議は原則30分で終了

トヨタではほとんどの会議を30分で終わらせます。

日本の会社では「1時間」と設定する場合が多いですが、最初から1時間と設定してしまうと本来30分で終わらせられる内容でも1時間かけて会議をすることになります。これでは後半30分が無駄になります。

トヨタはこの時間のムダを省くことで、圧倒的な生産性の違いを生んでいます。

議論が白熱した場合は追加で30分まで延長可能ですが、それ以上必要になる場合は別の会議を設定するといったルールがあります。

また、会議を30分で終えるために、ある程度具体的な「議題」を事前に準備し共有することが求められます。
さらに会議の最後は、「次は何を話し合うか」を決めてから終わります。

これらを習慣化・仕組み化することで、ムダのない会議を実現しています。

部下は上司を当てにせず、上司は部下に仕事を任せる

トヨタの特徴の一つは、上司と部下が2人で会議や打ち合わせに参加することが基本的に許されないことです。

これには、早い段階から常にプロとしての自覚を持たせる意図があります。

部下が成長すれば、上司は強制的にマネジメントの仕事に専念することになるので別の仕事に取り組めます。

いちいちまとめて清書しない

トヨタでは、話し合われた内容をまとめたり清書したりする議事録作成業務は生産性が低いと見なし、基本的に行われていません。

プリントアウト可能なホワイトボードを使用してリアルタイムで記入されたものをそのまま議事録にします

そのためトヨタ社員は、ホワイトボードに収まるよう議論をコントロールする力や、その場で議論を要約する力が求められます。

脳をフル回転させる作業なのでかなり大変ですが、関係者にいち早く大事な情報を伝えることができます。

会議でメモを取らない

トヨタでは、会議でメモを取らないことが暗黙のルールになっています。

これは、メモを取ることに集中せず話に集中する習慣をつけるという意図があります。

話し手の顔をしっかり見て、自分の脳みそに相手の話を深く刻みつけた方が理解の深さや速度も向上するはずで、本来のコミュニケーションとしては自然な行為です。

 

読んでみての感想

第1章で紹介された時短術は生産性の向上に繋がりますが、その分脳をフル回転させるので相当疲れるだろうなと思いました。

しかし、GAFAやBATHといった巨大企業と真正面から競争するために必要不可欠な要素でもあります。

反対にギガ速コミュニケーションのできない企業は、今後が危ういということでもあります。

この本で紹介されている時短術は“誰でもすぐに実践できるもの”と山本さんは言っています。

やる・やらないかは個人の自由ですが、当事者意識を持って仕事をしたい。自分の市場価値を上げたい。と少しでも思ったら、できる範囲で実践してみるのも良いと思います。

 

(以下、第4章以降の内容を含んだ感想になっています)

自動車はちょっとした設計や点検などのミスで人身事故に繋がるような繊細な製品です。そのような人命に関わるものを作っているトヨタだからこそ、社員の方々のものづくりに対する姿勢が高い分、新入社員が上司や現場の方に本気で怒られることが良くあると書かれていました。

今はパワハラなどの問題で、怒鳴ったりすることはリスクが大きいことです。

しかし、トヨタが世界トップの企業として長年い続けられる理由の一つは、社員の方々が良い車を作ろうと本気で仕事に向き合っているからなので、大の大人が本気で怒る文化が時代錯誤で悪いとは一概には言えないのかもしれません。

しかし、怒られた経験から大事なことを学んで次に生かせる社員もいれば、怒られたショックで立ち直れない社員もいます。 (私はほぼ間違いなく後者のタイプです…)

その場合のアフターフォローとして、トヨタでは飲み会が多いそうです。
飲み会でお互いに早い段階でわだかまりを失くすことで、自分を叱った方と仲良くなったりするそうです。

叱ったり飲み会を頻繁に開いたりといった点はコンプラ違反になる可能性もありますし、私も個人的にはそのような文化は苦手です。生産性の低い行動にも思えます。

しかし、ものづくりで世界的な高い信頼を得ているトヨタでは、例外的に生産性を高めている理由なのかもしれません。

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